サイト「Nanayo-Duki」と連動した紀和沙のブログ。日記・サイト更新情報・創作お役立ち本レビューなど。イラスト・小説などの作品はサイトにあります。詳しくは、右中段のリンクから!
『新訂 孫子』(岩波文庫 青207-1)
・訳注:金谷治
・岩波書店、2000年(Amazon リンク)
古代中国の兵法書といえば、コレ!ですよね。
『孫子』13篇の、原文(漢文)・読み下し文・現代語訳の3つを、各段ごとに対照し、さらに注もついています。
底本は、原文のメインを『宋本十一家注孫子』、そこに、
・宋本『武経七書』
・平津館本『魏武注孫子』(清・孫星衍)
・岱南閣本『十家注孫子』(清・孫星衍)
・『古文孫子』(仙台藩・桜田景迪)
での対校し、さらに「銀雀山漢墓竹簡・孫子兵法」など、もろもろの『孫子』に関係する文と比べて訂正を加え、「精善なテクストを得ることにつとめた」(p.3)という、その粘り強さに敬意を表さざるを得ない本となっております。
逆に言うと、これは現代の日本の研究者がたどり着いた『孫子』のテキストなわけで。この本の文を安易に使うと、「この時代の『孫子』に足りない字がありまっす!」とか、すんごい細かいツッコミを受けるリスクがないではない。ないだろうけど。ないと信じたい。
『孫子』といえば、日本の戦国時代にも多大な影響を与えていることは、ご存じの方も多いと思います。例えば、武田信玄の「風林火山」とか。これは、この本でいうと、「軍争篇第七」の、
「其疾如風、其徐如林、侵掠如火、不動如山」(p.94)
に登場します。ちなみに「軍争篇」では、「いかに機先を制して利益を得るか」が、説かれています。
ビジネス書とかでは、「この部分はこう解釈して生かせ!」とかありますが、私はこの本を「平和のための本」だと考えています。なぜなら、「謀攻篇 一」では、
「百たび戦闘して百たび勝利を得るというのは、最高にすぐれたものではない。戦闘しないで敵兵を屈服させるのが、最高にすぐれたことである。」(p.45-46)
という一文があります。ここに『孫子』の言いたいことがあるのではないかと思います。つまりは、
「戦争しないのが一番いい!」
だと。
こういう解釈を、現代を舞台にした小説に取り入れてみたいよね。
キャラA:「孫子の兵法って…戦争をどうやるかって話でしょ?」
キャラB:「違います。孫子の真髄は、『戦争をいかにやらないか』というところにあるのです」
みたいな会話をさせたら、カッコよくね? チョーカッコよくね?
なお、今の会話は、『相棒』の小松右京(水谷豊さん)と亀山薫(寺脇康文さん)の声で再生されています。最近、『相棒』ハマりました。劇場版のDVDほしい。もちろん、メイキング入りの豪華版のやつ。
話が逸れましたが、『孫子』はいい本です。実戦での駆け引きはもちろん、攻めてはいけない土地、スパイの使い方など、「戦い」という事象を普遍的に見据え、どう対処していくかを説いています。
バトル系の創作をするなら、一読しておいて損はないと思います。
※書籍からの引用文は、青色の字で示しています。
・訳注:金谷治
・岩波書店、2000年(Amazon リンク)
古代中国の兵法書といえば、コレ!ですよね。
『孫子』13篇の、原文(漢文)・読み下し文・現代語訳の3つを、各段ごとに対照し、さらに注もついています。
底本は、原文のメインを『宋本十一家注孫子』、そこに、
・宋本『武経七書』
・平津館本『魏武注孫子』(清・孫星衍)
・岱南閣本『十家注孫子』(清・孫星衍)
・『古文孫子』(仙台藩・桜田景迪)
での対校し、さらに「銀雀山漢墓竹簡・孫子兵法」など、もろもろの『孫子』に関係する文と比べて訂正を加え、「精善なテクストを得ることにつとめた」(p.3)という、その粘り強さに敬意を表さざるを得ない本となっております。
逆に言うと、これは現代の日本の研究者がたどり着いた『孫子』のテキストなわけで。この本の文を安易に使うと、「この時代の『孫子』に足りない字がありまっす!」とか、すんごい細かいツッコミを受けるリスクがないではない。ないだろうけど。ないと信じたい。
『孫子』といえば、日本の戦国時代にも多大な影響を与えていることは、ご存じの方も多いと思います。例えば、武田信玄の「風林火山」とか。これは、この本でいうと、「軍争篇第七」の、
「其疾如風、其徐如林、侵掠如火、不動如山」(p.94)
に登場します。ちなみに「軍争篇」では、「いかに機先を制して利益を得るか」が、説かれています。
ビジネス書とかでは、「この部分はこう解釈して生かせ!」とかありますが、私はこの本を「平和のための本」だと考えています。なぜなら、「謀攻篇 一」では、
「百たび戦闘して百たび勝利を得るというのは、最高にすぐれたものではない。戦闘しないで敵兵を屈服させるのが、最高にすぐれたことである。」(p.45-46)
という一文があります。ここに『孫子』の言いたいことがあるのではないかと思います。つまりは、
「戦争しないのが一番いい!」
だと。
こういう解釈を、現代を舞台にした小説に取り入れてみたいよね。
キャラA:「孫子の兵法って…戦争をどうやるかって話でしょ?」
キャラB:「違います。孫子の真髄は、『戦争をいかにやらないか』というところにあるのです」
みたいな会話をさせたら、カッコよくね? チョーカッコよくね?
なお、今の会話は、『相棒』の小松右京(水谷豊さん)と亀山薫(寺脇康文さん)の声で再生されています。最近、『相棒』ハマりました。劇場版のDVDほしい。もちろん、メイキング入りの豪華版のやつ。
話が逸れましたが、『孫子』はいい本です。実戦での駆け引きはもちろん、攻めてはいけない土地、スパイの使い方など、「戦い」という事象を普遍的に見据え、どう対処していくかを説いています。
バトル系の創作をするなら、一読しておいて損はないと思います。
※書籍からの引用文は、青色の字で示しています。
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紀 和沙 (KINO Kazusa)
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サイト「Nanayo-Duki」と連動するブログです。
オリジナルのイラスト・小説・ハンドメイド作品などの創作活動を展開。おもにオンライン上で発表しています。モットーは「おもしろければ何でもいい」。あと古典が好き。最愛は日本中世(平安末~室町)期。
ちまちまと投稿もやってます。
ライトノベルレーベル中心。お見かけの際はどうぞごひいきに。
拍手・コメント歓迎。
創作物への感想・ご意見、またご依頼等は、こちらのメールフォームをお使いください。
(サイトのメールフォームをお使いいただいても結構です)
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