サイト「Nanayo-Duki」と連動した紀和沙のブログ。日記・サイト更新情報・創作お役立ち本レビューなど。イラスト・小説などの作品はサイトにあります。詳しくは、右中段のリンクから!
『ファンタジー映画を描きたい! 夢と冒険のストーリー術』
・著:セイブル・ジャック、訳:廣木明子
・フィルムアート社、2005年(Amazon リンク)
オビの文句は「想像力を解き放て!」
……とゆー、若干 想像力に自信がなくなってくるアオリですが、内容はとっても濃い本だと思います。まず、まえがきなどに続いて、
「Chapter.1 ファンタジーとは何か?」
「Chapter.2 リサーチから始めよう!」
「Chapter.3 ストーリーを書く」
「Chapter.4 多面的なキャラクターを作る」
「Chapter.5 動物・神秘的な生き物たち」
「Chapter.6 魔法をちりばめる」
「Chapter.7 ファンタジーの舞台を探して」
「Chapter.8 戦闘シーン、あってよし、なくてよし」
「Chapter.9 宗教というエッセンス」
「Chapter.10 ファンタジーだって、政治はつきもの」
「Chapter.11 ロマンス、そして少々のセックス?」
「Chapter.12 対立を生みだす人々、家族」
「Chapter.13 独自の言語や呪文を作るなら」
「Chapter.14 音楽、詩が必要になったら」
「Chapter.15 悪魔は細部に宿る」
「Chapter.16 描写は簡潔、明瞭に」
「Chapter.17 ストーリーを書く Part.2」
「Chapter.18 総まとめ」
の、18章が読者を待っています。
加えて、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』の監督であるアーヴィン・カーシュナー氏などの推薦文なども、物語を作成する上での参考になります。
また、著者だけでなく、ファンタジーの識者からの質疑応答もあり、その答えに「なるほど!」と感心したり笑ったりできます。
各Chapterには「エクササイズ」が付いていることもあり、練習方法を学びたい人にもオススメです。例えば、「Chapter.2 リサーチから始めよう!」では、
「これは演習というよりちょっとした楽しみだ。(中略)1、2時間割いて、図書館へ行くかインターネットにアクセスするかして、ファンタジーの参考図書のリス トを作ってほしい。(中略)この章の最初では、あなたはファンタジーのリサーチってどうすればいいのと首をかしげていたのに、今はもう、情報が情報を生んで、まずどこから手をつけるかに迷っているはずだ。」(p.053)
など、具体的にどうするかを簡潔に指示し、その結果どうなるか、このエクササイズの目的は何だったのか、を説明してくれています。
ただ、和訳がちょっとわかりづらい部分も。例えば、「Chapter.4 多面的なキャラクターを作る」において、
「心ならずものヒーロー」(p.063)
という単語が登場します。この単語だけを読むと、「ならず者」つまり「手に負えない奴」という印象を受けますね。
し かし、きちんと読むとそうではない。この単語は、「自分の意思とは関係なく、ヒーローにならざるを得ない主人公」という意味なのです。日本でいうと、『新世紀エヴァンゲリオン』 の「碇シンジ」とかがピッタリきそうな感じ。「心ならずも」「ヒーローになった」という意味ですね。かなり苦心して訳されたんだろうと思います。
まぁ外国語を訳すときに難しくなっちゃうのは、仕方がない!きちんと読んで内容を理解すれば、独特の単語の意味も理解できるわけですし。
この本は、言い回し面白い部分もあって、「なるほど、こういうウィットも、ファンタジーには必要なのかもしれない」と思わせてくれます。「Chapter.5 動物・神秘的な生き物たち」内の「琴線に触れる動物」では、
「そう、動物の死や怪我を使って――観客に愛される動物が書けていればだが――ティッシュを飛び交させることは可能だ。」(p.102)
と いう一文で、思わず爆笑してしまいました。「泣かせる」じゃなくて「ティッシュを飛び交させる」ですよ、アナタ。漠然と「泣かせる」ことを想定するより も、「ティッシュを使わざるを得なくなる観客」を想定することで、視聴者へのアピールはどうあるべきかをより冷静に考えることができるんではないでしょう か。
この本は、映画の脚本を想定していることもあって、予算を意識した物語作りについてもしばしば言及されています。こういった視点は、 映画脚本だけでなく、普通の小説やマンガにも応用が利くんではないでしょうか。現代の小説やマンガは、いつメディアミックスされてもおかしくないしね!
アニメ化、ドラマ化、そして……。
「ファンタジー映画脚本のメソッド」だけだと思って読まずにいるのは、もったいない! 創作をしている人、そしてプロを目指している人にオススメ!とってもオススメしたい本です。
※書籍からの引用文は、青色の字で示しています。
・著:セイブル・ジャック、訳:廣木明子
・フィルムアート社、2005年(Amazon リンク)
オビの文句は「想像力を解き放て!」
……とゆー、若干 想像力に自信がなくなってくるアオリですが、内容はとっても濃い本だと思います。まず、まえがきなどに続いて、
「Chapter.1 ファンタジーとは何か?」
「Chapter.2 リサーチから始めよう!」
「Chapter.3 ストーリーを書く」
「Chapter.4 多面的なキャラクターを作る」
「Chapter.5 動物・神秘的な生き物たち」
「Chapter.6 魔法をちりばめる」
「Chapter.7 ファンタジーの舞台を探して」
「Chapter.8 戦闘シーン、あってよし、なくてよし」
「Chapter.9 宗教というエッセンス」
「Chapter.10 ファンタジーだって、政治はつきもの」
「Chapter.11 ロマンス、そして少々のセックス?」
「Chapter.12 対立を生みだす人々、家族」
「Chapter.13 独自の言語や呪文を作るなら」
「Chapter.14 音楽、詩が必要になったら」
「Chapter.15 悪魔は細部に宿る」
「Chapter.16 描写は簡潔、明瞭に」
「Chapter.17 ストーリーを書く Part.2」
「Chapter.18 総まとめ」
の、18章が読者を待っています。
加えて、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』の監督であるアーヴィン・カーシュナー氏などの推薦文なども、物語を作成する上での参考になります。
また、著者だけでなく、ファンタジーの識者からの質疑応答もあり、その答えに「なるほど!」と感心したり笑ったりできます。
各Chapterには「エクササイズ」が付いていることもあり、練習方法を学びたい人にもオススメです。例えば、「Chapter.2 リサーチから始めよう!」では、
「これは演習というよりちょっとした楽しみだ。(中略)1、2時間割いて、図書館へ行くかインターネットにアクセスするかして、ファンタジーの参考図書のリス トを作ってほしい。(中略)この章の最初では、あなたはファンタジーのリサーチってどうすればいいのと首をかしげていたのに、今はもう、情報が情報を生んで、まずどこから手をつけるかに迷っているはずだ。」(p.053)
など、具体的にどうするかを簡潔に指示し、その結果どうなるか、このエクササイズの目的は何だったのか、を説明してくれています。
ただ、和訳がちょっとわかりづらい部分も。例えば、「Chapter.4 多面的なキャラクターを作る」において、
「心ならずものヒーロー」(p.063)
という単語が登場します。この単語だけを読むと、「ならず者」つまり「手に負えない奴」という印象を受けますね。
し かし、きちんと読むとそうではない。この単語は、「自分の意思とは関係なく、ヒーローにならざるを得ない主人公」という意味なのです。日本でいうと、『新世紀エヴァンゲリオン』 の「碇シンジ」とかがピッタリきそうな感じ。「心ならずも」「ヒーローになった」という意味ですね。かなり苦心して訳されたんだろうと思います。
まぁ外国語を訳すときに難しくなっちゃうのは、仕方がない!きちんと読んで内容を理解すれば、独特の単語の意味も理解できるわけですし。
この本は、言い回し面白い部分もあって、「なるほど、こういうウィットも、ファンタジーには必要なのかもしれない」と思わせてくれます。「Chapter.5 動物・神秘的な生き物たち」内の「琴線に触れる動物」では、
「そう、動物の死や怪我を使って――観客に愛される動物が書けていればだが――ティッシュを飛び交させることは可能だ。」(p.102)
と いう一文で、思わず爆笑してしまいました。「泣かせる」じゃなくて「ティッシュを飛び交させる」ですよ、アナタ。漠然と「泣かせる」ことを想定するより も、「ティッシュを使わざるを得なくなる観客」を想定することで、視聴者へのアピールはどうあるべきかをより冷静に考えることができるんではないでしょう か。
この本は、映画の脚本を想定していることもあって、予算を意識した物語作りについてもしばしば言及されています。こういった視点は、 映画脚本だけでなく、普通の小説やマンガにも応用が利くんではないでしょうか。現代の小説やマンガは、いつメディアミックスされてもおかしくないしね!
アニメ化、ドラマ化、そして……。
「ファンタジー映画脚本のメソッド」だけだと思って読まずにいるのは、もったいない! 創作をしている人、そしてプロを目指している人にオススメ!とってもオススメしたい本です。
※書籍からの引用文は、青色の字で示しています。
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紀 和沙 (KINO Kazusa)
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サイト「Nanayo-Duki」と連動するブログです。
オリジナルのイラスト・小説・ハンドメイド作品などの創作活動を展開。おもにオンライン上で発表しています。モットーは「おもしろければ何でもいい」。あと古典が好き。最愛は日本中世(平安末~室町)期。
ちまちまと投稿もやってます。
ライトノベルレーベル中心。お見かけの際はどうぞごひいきに。
拍手・コメント歓迎。
創作物への感想・ご意見、またご依頼等は、こちらのメールフォームをお使いください。
(サイトのメールフォームをお使いいただいても結構です)
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