サイト「Nanayo-Duki」と連動した紀和沙のブログ。日記・サイト更新情報・創作お役立ち本レビューなど。イラスト・小説などの作品はサイトにあります。詳しくは、右中段のリンクから!
何だか最近、「あきみち」の現代語訳をお求めになっておられる方が多いようです。
「あきみち」は、岩波書店の『日本古典文学大系38 御伽草子』(いわゆる「旧体系」)に収録されてます。原文・注釈のみで、現代語訳はありません。巻頭に解説、巻末に補注があります。
ちょいと読んでみましたが、難しい古文ではありません。注釈と古語辞典で、だいたい訳は可能でしょう。
旧体系の「あきみち」は、上野図書館蔵の奈良絵本を底本としています。底本っていうのは、原文を採取したもとの本ってことね。
古典作品は、基本的に書写で継承されているので、「誰が書写したか」「どの本をもとに書写したか」などの理由で、同一作品でもさまざまなパターンがあるんです。
例えば、『源氏物語』でいうと、約120冊の本が残っており、その内容から三系統に分けられるそうです。
「あきみち」もそうした関係上、いくつかパターンがあるようです。
さてこれだけでは何なんで、物語の概要をご紹介します。
主な登場人物
・あきみち
・北の方(あきみちの妻)
・金山の八郎左衛門
あきみちは、「山口のあきひろ」という金持ちの息子。
北の方は、「ながへの齋藤」という人の娘で、あきみちの妻。美人。
金山の八郎左衛門は、「山口のあきひろ」を殺した男。つまり、あきみちの親の仇。
物語内の時代は、鎌倉時代を想定しているようです。
物語は、あきみちの留守中に、父親のあきひろが殺されたことに始まります。
犯人の左衛門を討つために、あきみちは一計を案じます。
そこであきみち、北の方に向かって、
「遊女のふりをして、八郎左衛門に近づけ。左衛門が寝入ったら知らせろ。仇を討つ」
と頼みます。
北の方は、夫以外の男と寝る(まあつまりゴニョゴニョなこともあるので)ことを拒否しますが、あきみちの説得で、結局は承諾します。
「スキがあったら、わたしの手で左衛門を殺してあげる!」
とか言っちゃうあたり、この北の方、結構女傑。
んで、北の方はその通りにするわけですが、左衛門は一晩中一緒にいるということがない。スキがない。
ずるずると日を過ごすうちに、北の方は左衛門との間に男の子までもうけちゃいます。
「このままじゃいけないわ!」
というわけで、北の方は左衛門に向かって、
「一晩中いてくれないなんて、わたしのほかに女でもいるのシクシクもう病気になっちゃったわシクシク」
と一芝居。
北の方にベタ惚れの左衛門は、とある隠し部屋のことを教えます。
「俺は敵が多いからな!」
と、秘密の部屋を教える左衛門。毎晩、そこで休むとのこと。
北の方は
「計画通り(AA略)」
とばかり、あきみちに連絡します。
あきみちは北の方の手引きで、秘密部屋に隠れます。
んで、左衛門の首を見事切り落とし、本懐を遂げます。
やっと北の方とハッピーな生活に戻れる…と思いきや、北の方は出家。夫以外の男と子供までもうけたことや、その子供の親(左衛門)を殺す手引きをしたことで、
「もう元の生活には戻れないわ…」
と。泣けます。泣かせます。
あきみちもまた出家します。
ここで物語はエンド。このような計略の物語はない。世の人は身を慎むべきと教えています。
親の仇を討つことは、親孝行と考えられていました。
…といっても、活躍してるの北の方だけじゃん!と突っ込まざるを得ない。北の方の機転が、何度もあきみちを助けてるし。
結構ドラマティックな「あきみち」。
この機会に、皆さんも読んでみてはいかがでしょう。
「あきみち」は、岩波書店の『日本古典文学大系38 御伽草子』(いわゆる「旧体系」)に収録されてます。原文・注釈のみで、現代語訳はありません。巻頭に解説、巻末に補注があります。
ちょいと読んでみましたが、難しい古文ではありません。注釈と古語辞典で、だいたい訳は可能でしょう。
旧体系の「あきみち」は、上野図書館蔵の奈良絵本を底本としています。底本っていうのは、原文を採取したもとの本ってことね。
古典作品は、基本的に書写で継承されているので、「誰が書写したか」「どの本をもとに書写したか」などの理由で、同一作品でもさまざまなパターンがあるんです。
例えば、『源氏物語』でいうと、約120冊の本が残っており、その内容から三系統に分けられるそうです。
「あきみち」もそうした関係上、いくつかパターンがあるようです。
さてこれだけでは何なんで、物語の概要をご紹介します。
主な登場人物
・あきみち
・北の方(あきみちの妻)
・金山の八郎左衛門
あきみちは、「山口のあきひろ」という金持ちの息子。
北の方は、「ながへの齋藤」という人の娘で、あきみちの妻。美人。
金山の八郎左衛門は、「山口のあきひろ」を殺した男。つまり、あきみちの親の仇。
物語内の時代は、鎌倉時代を想定しているようです。
物語は、あきみちの留守中に、父親のあきひろが殺されたことに始まります。
犯人の左衛門を討つために、あきみちは一計を案じます。
そこであきみち、北の方に向かって、
「遊女のふりをして、八郎左衛門に近づけ。左衛門が寝入ったら知らせろ。仇を討つ」
と頼みます。
北の方は、夫以外の男と寝る(まあつまりゴニョゴニョなこともあるので)ことを拒否しますが、あきみちの説得で、結局は承諾します。
「スキがあったら、わたしの手で左衛門を殺してあげる!」
とか言っちゃうあたり、この北の方、結構女傑。
んで、北の方はその通りにするわけですが、左衛門は一晩中一緒にいるということがない。スキがない。
ずるずると日を過ごすうちに、北の方は左衛門との間に男の子までもうけちゃいます。
「このままじゃいけないわ!」
というわけで、北の方は左衛門に向かって、
「一晩中いてくれないなんて、わたしのほかに女でもいるのシクシクもう病気になっちゃったわシクシク」
と一芝居。
北の方にベタ惚れの左衛門は、とある隠し部屋のことを教えます。
「俺は敵が多いからな!」
と、秘密の部屋を教える左衛門。毎晩、そこで休むとのこと。
北の方は
「計画通り(AA略)」
とばかり、あきみちに連絡します。
あきみちは北の方の手引きで、秘密部屋に隠れます。
んで、左衛門の首を見事切り落とし、本懐を遂げます。
やっと北の方とハッピーな生活に戻れる…と思いきや、北の方は出家。夫以外の男と子供までもうけたことや、その子供の親(左衛門)を殺す手引きをしたことで、
「もう元の生活には戻れないわ…」
と。泣けます。泣かせます。
あきみちもまた出家します。
ここで物語はエンド。このような計略の物語はない。世の人は身を慎むべきと教えています。
親の仇を討つことは、親孝行と考えられていました。
…といっても、活躍してるの北の方だけじゃん!と突っ込まざるを得ない。北の方の機転が、何度もあきみちを助けてるし。
結構ドラマティックな「あきみち」。
この機会に、皆さんも読んでみてはいかがでしょう。
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サイト「Nanayo-Duki」と連動するブログです。
オリジナルのイラスト・小説・ハンドメイド作品などの創作活動を展開。おもにオンライン上で発表しています。モットーは「おもしろければ何でもいい」。あと古典が好き。最愛は日本中世(平安末~室町)期。
ちまちまと投稿もやってます。
ライトノベルレーベル中心。お見かけの際はどうぞごひいきに。
拍手・コメント歓迎。
創作物への感想・ご意見、またご依頼等は、こちらのメールフォームをお使いください。
(サイトのメールフォームをお使いいただいても結構です)
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